多肥の家

設計
天久和則/テンキュウカズノリ設計室
施工
ASJ高松スタジオ[センコー産業株式会社]
撮影
野村和慎

Comment

「プライベートな庭や家庭菜園ができる庭のある平屋の家が欲しい」という思いから、土地探しが始まりました。かつては田園地帯だったこの地は、散村状に民家が点在していましたが、ここ数十年のあいだで区画整理が行われ、高松市中心部のベッドタウンとして人口が急増した場所でもあります。

110坪の変形した敷地に沿って配置した平屋建てのプランは、どの部屋からも見ることができるプライベートな内庭と、外に開かれたパブリックな庭と、家庭菜園ができる庭という3つの性格を持つ庭と建物とが折り重なるように、敷地全体をゾーニングしました。

人も住まいも永く付き合うためには、距離感が大切だと思います。

その距離を計るために内庭のような場所を通して、向こうの部屋にいる家族の気配を感じることができるでしょう。また内庭に対して開かれたこの家はプライバシーを守りながらも、外との距離を計るために内庭を通して街の気配を感じることができるでしょう。

家は街の中にコミュニティーを創る場所でもあると思います。簡単ではないと思いますが、プライバシーを確保しながら家が街に対して開かれたものにもしていかなければならないと思っています。圧迫感を与えないように、建物のヴォリュームは低く抑え、なだらかな築山に植栽を植えたり、プライバシーを確保しながらも道行く人の目を楽しませるでしょう。そしてこの家が街に潤いや落ち着き、活気を与え、コミュニティーを創っていくきっかけになることを願っています。

(天久和則)

More