小浜の家

設計
谷尻誠/SUPPOSE DESIGN OFFICE株式会社
施工
ASJ舞鶴スタジオ[株式会社坂根工務店]
撮影
矢野紀行

Comment

小浜の家は、30代の夫婦のための住宅である。

敷地近郊には海があるため、塩害の問題や、厳しい気候条件などから、クライアントからはできるだけ、外界とは閉ざされた住空間の確保を要望された。

元々はパーキングスペースだったこともあり、当初の駐車台数を確保する条件などから、ピロティ形式による建築の姿形が自然と導かれることになった。鉄骨造による細い柱でのピロティも検討したが、駐車を利用する方の多くが高齢者のため、構造部への車の接触の問題などから鉄筋コンクリートによる柱とし、水平力と回転に対して有効に働く角度をそれぞれの柱が持つ形態にたどり着いた。

また、2階部分は外部を閉じる条件を積極的に構造として扱い、外壁面を大きなトラス梁として設計することで、大スパンを容易にする鉄骨造による住宅階と6本のコンクリート柱のあるパーキングスペースという、合理的な構造形式ができあがった。

住宅部分は敷地境界線側にキッチンスペース、浴室、スタディーコーナー、収納などのスぺースを配置し、その中に生活の主となるリビングスペースやベッドルーム、子供部屋などを配置し、外部からの風による冷気の進入に配慮した平面計画としている。また、各室では壁ではなく、内庭で空間を仕切っており、建具を開け放てばリビング、ベッドルーム、子供部屋までもが一体の空間となり、どこまでもがリビングであるかのような、どこまでもがベッドルームであるような、どこまでもが内庭のような、内外が一体となった空間となる。部屋の延長としての内庭や、庭の延長としての各室が、ゆるやかに混ざり合うことで、部屋や庭の概念を超えた空間をここでは実現したいと考えた。

部屋のような外部、庭のような内部、そんな考え方の先に、本当の意味での開放感を備えた建築の可能性があるのではないかとわれわれは考えている。

(谷尻誠)

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