城立寺庫裏

設計
大澤和生/一級建築士事務所マルスプランニング合同会社
施工
ASJ東京東スタジオ[山庄建設株式会社]
撮影
Sam Style 吉田修

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江戸初期から続く日蓮宗寺院の庫裏である。豊かな境内だが都内住宅地というロケーションから、周囲に隣家がせまり、建物の配置や窓位置など視界調整を慎重に行った。

外観は本堂に威圧感を与えないようヴォリュームを分け、既存建物となじむように複数の瓦屋根で構成している。

計画の要としてふたつの中庭がある。ひとつは寺院機能に付属するもので、来客をもてなすことを目的とし、応接機能が庭を囲むように配置されている。主玄関のピクチャーウィンドウは、近接する隣家を避け視線を下に誘導するよう高さ1,400mmにおさえ、幅5,200mmの1枚ガラスとした。

植栽は落葉により季節を感じる樹木を多く選定、主木の紅梅は株元の幹ぶりが美しい。

もうひとつの庭は住職家族の日常を寺務と区切られるよう庫裏専用とし、プライバシーに重点をおいている。三方を平屋として採光、通風を十分に確保。この中庭を囲むようにリビング・ダイニング、キッチン、主寝室、書斎が並び、フルフラットである中庭の床は晴天時は居室の延長として使用できる。

外構は境内既存庭園のさまざまな要素と調和をとるように計画している。主玄関にいたる境内からのメインアプローチに1mのレベル差があり、大判の御影石を斜にズラしながらゆるやかな階段状に並べて解消した。石段の端部に境内から移設した貫目石や数種の植栽などをあしらい、趣に変化をつけている。階段脇にあった背丈ほどある大石と移植した松を挟むかたちで錆御影と真砂土でスロープを作り、高齢者や車椅子の利用に配慮した。

(大澤和生)

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