當麻寺の家

設計
大江一夫/マニエラ建築設計事務所
施工
ASJ 西宮・芦屋スタジオ[株式会社吉川組]
撮影
平野和司

Comment

本計画は古都、奈良にある當麻寺に向かう参道に歴史建築が建ち並ぶ一角にあり、築180年の歴史を持つ古民家の再生(rinascent)計画である。

計画の際に重きをおいたのは、古民家の趣きを残しつつ、現代の生活スタイルに合った空間を含有し、それらを調和させることである。歴史が育んできた情緒や、現代では難しい大きな丸太梁によるダイナミックな小屋組構成を残しつつ補強復元し、現代の機能性とデザインを付加し、再生していくことである。

ダイニングとなる空間はいくたびか改装が行われていたようで、もともと町家建築には調和しない天井が張られていた。工事の際、天井を剥がし、現れたダイナミックな梁組を生かす方向となった。

古民家の再生は工事の際に良くも悪くも思いがけないことが現れてくる。それらをどう処理していくかが、古民家再生のポイントでもある。

損傷や傷みのある箇所には、構造設計者と共に適切な補強処置を施しつつ再生した。井戸のあったキッチンは外部デッキとして生まれ変わり、井戸の蓋をテーブルの天板として利用している。

古民家の隙間風や断熱性を改善するため、外部窓を2重窓とすることで気密性を付加し、キッチンの屋根やリビング・ダイニングの床には断熱材を敷き詰めた。

過去の記憶の継承として、竹小舞壁や石段などは部分的にそのまま意匠として残している。

これからも住み手と共に残すべきもの、新たな息吹が生まれるものとを選択し、再生されていくことだろう。

(大江一夫)

More