蔵座敷を囲む住まい

設計
山本学/アトリエガク一級建築士事務所
施工
ASJ 山形スタジオ[株式会社後藤組]
撮影
小川重雄

Comment

代々受け継がれた土蔵をもつ地方都市の住宅である。蔵は離れの座敷として今までも使われていたが、居住スペースとの距離があるため使用頻度はあまり高くなく、2階も物置になっていた。母屋よりも蔵のほうが古い建物で、築150年と伺った。蔵の保存はクライアントの意向でもある。入口の扉の意匠が素晴らしく、保存状態も良好だったため、より積極的に設計に生かしたいと思った。

敷地南側には400年の時代を感じさせるさまざまな樹木が植わった庭が造られており、初代が植えたという立派な松の木が存在感を示していた。

その庭の観賞と蔵座敷の有効利用、そして新たな2世帯の暮らしへの対応がメインテーマとなった。

従来のように住居と蔵を連結させるのではなく、住居で蔵を囲み、その蔵を中心に東西に大きく羽を広げたかたちで各諸室を配置した。そうすることによって、蔵の意匠をより引き出し、庭との関係性を大きく取り入れる設計とした。松の木を正面にリビングとダイニングを配置し、蔵のエクステリアをインテリアに取り込みながらLDKのモダンな雰囲気と蔵内部の仏間と茶室を融合させている。パブリックゾーンの両翼、東側と西側それぞれに南北2部屋ずつ、座敷の2階に1部屋、合わせて5つのプライベートルームで囲むかたちである。

古き良き建造物を代々受け継いでいく。しっかりと使い続けていく。使用目的が変わり生活様式も大きく変わっていくなか、難しいが大切なことと考える。

(山本学)

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