G-HOUSE

設計
窪田勝文/窪田建築アトリエ
施工
ASJ 松山中央スタジオ[株式会社富士造型]
撮影
鈴木研一

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クライアントが営む店舗に設けられた駐車場の一角に、この住まいは計画された。敷地の周囲三方は建物に囲まれ、唯一開かれた北面には来客者が多数訪れて、その喧噪はとめどない。日々に求められるプライバシーや静けさは多分に損なわれ、生活を守る入念な配慮が必要な敷地であることは明白だ。しかし、クライアントがこれまでに育んできた地域との信頼感、そしてこの地への愛着はとても大きく、ここに終の住処を造ろうと決められた。

広く大きく恵まれた自然の中、心と自然が同化して自然の一部になったような感覚に陥ったことがある。自然との一体感、それは無限の広がりや豊かさとの一体化であり、心を縛り付けるさまざまな制約からの解放でもある。そして私はこれと相似的な感覚を「建築」で繰り返し味わい体験してきた。その時の周辺環境は決して恵まれていなかったにもかかわらず、空間に射し込む微かな光や風に反応し、心は大きくトリップして壮大な自然、空間へと導かれ強烈な解放感に満たされた。私はこれまでも、そして今回のG-HOUSE も、こうした「建築」を目指し取り組んでいる。

G-HOUSE では真っ白なコンクリート・スラブを、たった数回折り込んで内外が曖昧な空間を創りだす。壁と壁、壁と屋根、屋根と屋根、どこもかしこも閉じきらず、開いたままの隙間から侵入する光や風、屋根に大きく穿たれた開口から見える空、さらに水盤の高低差から発する水音を空間全体に響かせて自然観を鮮やかに蘇らせる。

白いスラブにより必要のない情報をオミットし、風により揺らぎ続ける水盤で反射する光、屋根や壁の鋭く尖ったエッジで切り取り抽象化された、さまざまな自然の断片は意識の奥深くへと入り込む。そしてこれまでにストックしてきた体験的データと共鳴して、心に眠る広大な場へと一気にトリップさせる。流動する自然との一体化は、心を固定化から脱却させると同時に無限、変化、自由を獲得して、そこで得られる心の解放が新たな希望をもたらしてくれる。

(窪田勝文)

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