OPEN HASAMI

設計
吉武研二/ヨシタケ ケンジ建築事務所
施工
ASJ佐賀西スタジオ[株式会社上山建設]
撮影
石井紀久

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やきものの町で知られる長崎県波佐見町。敷地は、細い坂道を登りきった山腹に位置し、周囲は緑があふれ、窯元の煙突を見下ろすことができる、まるで小説に出てくるような環境です。また、前面道路から、石垣で一段高い位置にあり、開放的な計画が可能な敷地でした。

波佐見焼の陶芸家であるクライアントからは、住まいと、自作の展示、人や物が集うスペースとして展示スペースを求められました。そこでプランは、展示スペースとLDKを外に開いた「オープンな空間」、水廻り、寝室、収納といったプライバシーを高く求められる「クローズな空間」に分け、「オープンな空間」に高い公共性を持たせることでスタートしました。「クローズな空間」は、ひとつの箱に詰め込み、この閉じられた箱の配置で、「オープンな空間」に、余白や連続性といった変化を与え、見え隠れする部分に空間の奥行きを与えることにしました。

建物形状は、威圧感がなく、優しく人を迎えるように、一段上がった石垣側に屋根を緩勾配でかけ、軒先とデッキの水平ラインを強調させたデザインとしました。

次に内部空間ですが、まず展示スペースは、LDKとの連続性を重視し、床・壁・天井は同じ素材としました。展示する壁を確保するとともに、外の表情や応接の和室が窺えるよう、開口を取りました。LDKは、外の景色を取り込み、開放性の高い空間となっています。また敷地の南が、木々が生い茂る山、東が窯元の来客用駐車場のため、建物の東側は、目隠しも兼ねた光庭としての坪庭を配置しました。優しい木漏れ日が壁に映り、日々の暮らしに豊かさを与えることができました。

素材に関しては、常日頃身近にある素材を利用するように努めています。今回は、クライアントに波佐見焼でオリジナルタイルを焼いてもらいました。木製建具の笠木にも利用できるよう、ゆるやかな勾配をとったディテールとなっており、優しい表情と奥行のあるタイルが出迎えてくれます。

「オープンな空間」は、いろいろなイベントが可能となっています。多くの人が集い、新しいコミュニケーションが生まれ、新しいモノやコトが発信できる場所になるよう、「OPEN SESAMI」=開けゴマの意味を込め、「OPEN HASAMI」と名付けました。今後が楽しみな場所です。

(吉武研二)

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